• Art
  • 原田知大

    人気作家の写真が買えるアートギャラリーへ。
  • 013

2010.03.30

部屋に飾るもよし、コレクションするもよし。 人気作家の写真を買えるアートギャラリーへ。

Story

いまや、東京を歩く人の多くがカメラを常に持ち歩いている。自分で撮影するようになるにつれ、写真家が撮った作品にも興味が出てきて、好きな作品を部屋に飾りたくなってくるもの。そこで今回は、日本初の写真のアートフェア、「東京フォト」を主宰する原田知大さんに、人気作家の写真を買えるギャラリーを教えてもらいました。Text by Hiroya Ishikawa, Tomoe Tamura / Photo by Shinichi
Yokoyama / Photo cooperation by TARO NASU , © Kaoru Usukubo , © Futo Akiyoshi

IMG_0041「著名な現代アーティストのペインティングや立体の作品は、価格的にそう気軽に買うわけにはいかないものもあります。でも、写真ならぐっと手頃になることも。映画『さくらん』を監督したことでも知られる人気フォトグラファー、蜷川実花さんの作品であっても、10万円程度で購入できるものがたくさんあるんですよ」

そう語るのは、東京フォト代表の原田知大さん。国内外から写真を扱うギャラリーを集めたアートフェアの熱きプロデューサーだ。いま、アートの世界において、写真の評価や存在感はどんどん高まっている。アメリカを代表する美術評論家のひとり、マイケル・フリードも「今は写真がおもしろい」と言い始め、最近では彼の評論の対象は写真が中心になりつつあるという。

「音楽の世界でいえば、昔ならギターやキーボードをやっていた人の何割かが、今は打ち込み系の音楽に取り組むようになっていますよね。同様にアートの世界でも、油絵を描いていただろう人の何割かが、その表現方法として写真を選択する傾向にあるんです。その結果、素晴らしい才能がどんどん写真に集まり、いい作品が多くなっている。だからマイケル・フリードのような評論家の目にも留まっているんだと思いますね」

IMG_0069世界のアート市場では写真の価値や人気が上がり、コレクターも増えている。だが、こと日本に関しては、写真の人気は高くても売上はまだまだこれから。しかし、その状況が思わぬ効果をもたらしている側面もある。

「海外では写真がよく売れるから、作家は売れるような作品をつくりがちなんです。それに比べて日本では、まだ写真があまり売れないから、どうせ売れないならと作家は自分の世界観をより自由に表現しています。海外からも日本の作品はバリエーション豊かで、おもしろい作品が多いと評判です。注目を集めているといってもいいでしょうね」

そんな海外の動きを反映して、最近では日本のギャラリーも写真を積極的に扱うようになってきた。ギャラリーは、そこに展示してある作品以外にも、数多くの作品を保有している。買いたい作品や見たい作品があれば、事前にそれをギャラリー側に伝えておくことで、閲覧、購入ができるのだ。

人気作家の写真が買えるギャラリーはここだ!

IIMG_006「作品を部屋に飾るのであれば、単純に自分が好きな作品を買うのが一番です。そのためには、まずは書店や図書館に行って、いろいろな写真集を見てみてください。すると自分が好きな写真や写真家の傾向がわかってくると思います」

ほかにも、美術館で開催される写真展や、ビエンナーレ、トリエンナーレなどに足を運び、とにかく数多くの作品を見て、自分が好きな作家や作品を把握するといい。そして、お気に入りの作家が見つかったら、その作家の作品を扱っているギャラリーをネットなどで調べてみるといいだろう。取扱いギャラリーがわかれば、あとは簡単。写真集の中に欲しい作品があれば、掲載されている写真集のタイトルとページ数を伝えて、在庫があれば購入可能だ。

IIMG_063「写真の人気が上がるにつれて、ギャラリーが以前より積極的に写真を扱うようになってきた」という原田さん。たとえば、東神田にある『TARO NASU』。「ここは、木村伊兵衛賞を受賞したばかりの高木こずえさんのような若手作家の作品から、宮本隆司さんや松江泰治さんのようなベテランのものまで、バランスよく取り扱っているのが特徴です」

日本の人気作家さんを多く扱っているギャラリーが、『hiromiyoshii』。「篠山紀信さん、ヒロミックスさんなどは、一般的にも知られた作家さんですし、グングン知名度を上げている津田直さんもこちらの所属です」

国内外を問わず、王道系の作家さんを扱っているのが、『Taka Ishii Gallery』。「アラーキーこと荒木経惟さんや森山大道さん、トーマス・デマンドなどの作品に注目してみてください」

そして、特に若い女性に人気の高い蜷川実花さんの作品を扱っているのが『Tomio Koyama Gallery』。「実はボクも蜷川さんの作品をこちらで買わせていただきました。ほかには夜間の都市の風景を写した福居伸宏さんもオススメ。クールな部屋に合いますよ」
ちなみに『hiromiyoshii』、『Taka Ishii Gallery』、『Tomio Koyama Gallery』は清澄の同じビルに入っているので、一度に回ることができて便利だ。

銀座にギャラリーを構える『GALLERY KOYANAGI』は、杉本博司さんの作品を扱うギャラリーとして知られる。「ほかにも、鈴木理策さんや野口里佳さん、花代さんの作品など、話題性の高い作家さんが多数所属しています。銀座の雑踏に疲れた時に、フラリ立ち寄って癒される。そんな使い方もありです」。

海外の人気作家を抱えていることで知られているのが、初台にある『WAKO WORKS OF ART』。「ヴォルフガング・ティルマンスやゲルハルト・リヒターなどは世界的に注目の作家です。特に彼らの展覧会が開催された時には、足を運ぶといいでしょう」

また、京橋の『ZEIT-FOTO SALON』も忘れてはならないギャラリーだ。ここで扱う作品は写真のみで、オープンから30年以上の老舗でもある。「荒木経惟さんや森山大道さん、オノデラユキさんなどの日本の人気作家のほかに、中国人アーティストの作品を数多く扱っているのが特徴です」

IMG_010実際にギャラリーに行って、プリントされた作品を自分の目で見る。そこには、きっと新しい発見があるはずだ。
「当然ながら、写真集とはクオリティが違いますし、作品を見た時の感じ方に深みがある。本当に欲しい作品と“出会ってしまった”ときは、ぜひ思い切って購入してみてください。プリントのみの場合と額付きを選べる場合が多いと思いますが、できれば額装されているものを購入することをオススメします」

また、写真作品はプレゼントにも最適だ。「特に女性へのプレゼントとして写真を贈るって、すごく素敵なことだと思います。少しでもアートに興味がある女性であれば、好感度は間違いなく上がるのではないでしょうか」。作品が予算と見合わない場合は、写真集でもいいのでは、と原田さん。

IMG_0112作品が予算と見合わない場合は、写真集でもいいのでは、と原田さん。部屋に著名な写真家の作品を飾っておけば、部屋への誘い文句にもなるとも。「たとえば、コンクリート打ちっぱなしの部屋であれば、モノクロ写真と相性がいい。作品が部屋に一枚飾られているだけで、部屋の雰囲気は一変。スタイリッシュな大人の空間になります」

アート作品は持っているだけで不思議な充足感が得られる。また、万が一飽きてしまっても、買った値段もしくはそれ以上で売れることも多い。初めて買う時は少し勇気がいるかもしれないが、まずはお小遣いの範囲内で一枚、自分が本当に心から気にいった写真を購入してみるといいだろう。きっと、それまでとは違う毎日が待っているはずだ。

おすすめ記事