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    いま、目が離せない映画館。
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2009.10.21

独自のカラーと意欲的な試みに
いま、目が離せない映画館。

Story

思想や宗教上の理由などで上映を制限されることが少なく、公開作のバリエーションが圧倒的に多い映画天国・東京。そんな東京のあまたある映画館の中で、独自のカラーを感じさせ、かつ意欲的な試みに挑戦する「いま、目が離せない映画館」とは? 映画バイヤーの叶井俊太郎さんがセレクトしてくれました。Text by Tatsuya Matsuura, Tokyo Faves/ Photo by Shinichi Yokoyama, Tokyo Faves / Photo cooperation by image forum

003_photo1「ここ数年の映画界は、総売上が億単位で下がり、総入場者数も百万人単位で減少している。各配給会社にとっては、ますますヒット作が求められる状況です。昨今の“売れるキャスティング”や“メディアミックス”といった仕掛けは、確実に投資を回収したい大手にとっては当然の仕掛けといえるでしょう。しかし、日本という国にいながら、そうした映画にしか足を運ばないのは、もったいない。実は、日本は世界中でもっともバラエティに富んだ映画が観られる国なんです」

そう熱く語るのは、映画バイヤーでトルネード・フィルム代表の叶井俊太郎さん。政治的背景、思想、宗教……。日本に住む我々が思う以上に、他国での映画事情は複雑だと叶井さんはいう。たとえば、自由の国を標榜するアメリカでも、2009年9月、ダーウィンの進化論を扱った「クリエーション」が宗教上の理由で配給が中止され、さらには進化論自体に対する法規制まで取りざたされる騒動になったという。また、アメリカでは暴力表現や人権に関係する作品には厳しい目が向けられることも多い。

「イギリス、フランスなどヨーロッパでは、上映作品のうちEU内制作作品が一定以上になるよう公開作の比率が規制されていますし、隣の韓国でもつい最近まで外国映画上映比率の規制がありました。共産・社会主義圏の国なら、国家に不利益をもたらすと見なされた作品は公開できませんし、アラブ諸国ならポルノ映画なんかもってのほか。日本人が考える以上に、日本は映画の鑑賞環境に恵まれているのです。そんな国内でも、ミニシアターも多い東京という都市は、公開作のバリエーションが圧倒的に多く、映画館ごとのカラーも多彩。面白いと思える映画を上映している映画館が、必ずどこかにあるはずです」

ミニシアターあり、シネコンあり。いま注目すべきはここだ!

003_photo2叶井さんが気になるのは、規模の大小を問わず、意欲的な試みをしていたり、独自のカラーを感じさせてくれる「目が離せない」映画館だという。それは具体的にどこなのだろうか。
「まず、エリアとして押さえておきたいのは渋谷。『シネセゾン渋谷』はホラーからアニメ、ポップな作品までジャンル横断で、ちょっとトガった作品を手がける傾向が強い。2009年公開作だと、みうらじゅんの『色即ぜねれいしょん』とかね。あとは、『シネマライズ』は作家性の強い新人監督作品を発掘してくる気概がうれしい。

ほかには、大きな劇場がヤバくて手を出さないようなギリギリの作品をよく上映している『シアターN』もいい。シネマライズやシアターNには、俺も時々持ち込んでいます。あとは、宮益坂を上りきったところにある、アート系の作品を中心に上映する『イメージフォーラム』など、渋谷界隈にはバリエーション豊かなミニシアターが数多くあるんです」

エリア内にミニシアターの多い渋谷は、他の劇場との差別化を図らないと集客につながりにくく、だからこそ、劇場ごとの“色”がはっきりわかれているという。では、他のエリアの劇場はどうか。
「業界全体の動向を押さえたいなら、 六本木ヒルズは行っておかないと(笑)。『TOHOシネマズ 六本木ヒルズ』のレイトショーには、俺もよく行きますよ。爆笑問題のお笑いライブを独占で開催するなど、スクリーン上映にとどまらない取り組みも面白い。

また、新宿・歌舞伎町の『バルト9』も意欲的な試みが多くて注目しています。今年5月にはラルク・アン・シエルのパリ公演を衛星生中継を行いました。5000円という決して安くない料金なのに、深夜の歌舞伎町にビジュアル系のファンが集結するという、ある種のエポックメイキング的な出来事を演出しています。

あと、忘れてはならないのが、『ニュー・シネマ・パラダイス』でミニシアターブームに火をつけた、『シネスイッチ銀座』。この劇場は、いつもどこかしら挑戦的な作品を上映しています。来年、俺が買いつけた『二本足の馬』(仮)が公開されるからというわけじゃなく(笑)、お世辞抜きでいい劇場です。

大手系の劇場ももちろんいいけれど、その国の映画文化の深みは、やはりミニシアターのようなディテールにこそ現れる。まずは、何本か観て自分の好みをつかんでほしい。せっかく東京には面白い作品が観られる映画館がたくさんあるんですから」

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